金の手筋を覚えよう
将棋用語集の「頭金」、詰将棋のコツを覚えようの基本の詰み形、将棋の格言を覚えようの「竜の頭には金を打て」「金なし将棋に受け手なし」、そして銀の手筋を覚えようの銀との移動範囲の違いでは、金に関わる代表的な内容をすでに紹介しました。この記事ではその内容とは重複しないよう、金という駒そのものの使い方に注目し、まだ扱っていない手筋・考え方を深掘りして解説します。
頭金・竜の頭には金を打て・金なし将棋に受け手なし・銀との違いのおさらい
金に関わる基本的な内容は、すでに次の記事で解説済みです。ここでは重複を避けるため、まだ扱っていない考え方を中心に紹介します。
- 頭金(将棋用語集) — 玉の真正面に金を打って詰ませる、最も基本的な詰み形の一つです。
- 頭金など基本の詰み形を覚える(詰将棋のコツを覚えよう) — 頭金をはじめとする基本の詰み形を、一手詰めを解く手がかりとして解説しています。
- 竜の頭には金を打て(将棋の格言を覚えよう) — 成った飛車(竜)に直進されたとき、進行方向の正面に金を打って受ける格言です。
- 金なし将棋に受け手なし(将棋の格言を覚えよう) — 守りの金を失うと受けが極端に難しくなる、という金の守備的価値についての格言です。
- 銀の柔軟性(金との違い)(銀の手筋を覚えよう) — 銀は斜め後ろに引けるが金は引けない、金は横・真後ろに利くが銀は利かないという、金と銀の移動範囲の違いを解説しています。
送りの手筋(送り金)
持ち駒を、あえて相手に取らせることで玉を特定のマスへ強制的に動かし、その後の攻めにつなげる考え方を「送り駒」と呼ぶことがあります。使う駒が金のときは「送り金」と呼ばれることがあり、玉の周りの守りが金1枚しかない終盤の局面では特に見られる手筋です。ただ金を打って王手をかけるのではなく、玉をどのマスへ動かすかを見据えたうえで打つ、という点が普通の王手とは異なります。
下の例では、後手玉が1一にいる局面で、先手が▲2一金打とすると、金の利きが玉に届いて王手になります。他の逃げ場がふさがれているような局面では、玉はこの金を取るほかなく、△同玉と応じると玉は2一へ移動します。ここで先手が▲2四香打と2筋に香を放つと、2一・2四の間にさえぎる駒がないため、香の利きが直接2一の玉に届き、再び王手になります。このように、金を取らせて玉を特定の筋・段へ誘導したうえで、そこに別の攻め駒の利きを通す、というのが送り金の狙いです。
金の万能性(腐りにくさ)
桂馬の手筋を覚えようで触れたように、桂馬は跳ねる先を誤ると前にも後ろにも戻れず、完全に遊び駒になってしまうことがあります。これに対して金は、前方への直進・斜め前2方向・横2方向・真後ろ1方向という計6方向に動けるため、置き場所を多少誤ったとしても、周囲の状況次第でどこかしらの方向へ利きを活かせることが多いと言われています。
もちろん金にも唯一利かない方向(斜め後ろ)はありますが、桂馬のように「跳んだ場所を間違えると二度と使い道がなくなる」という極端な弱さは金にはあまり見られません。攻めに使っても守りに使っても、ある程度どこに置いても働きやすい駒だという意味で、金は「腐りにくい駒」だと言われることがあります。攻め駒として押し出す場合も、守り駒として据え置く場合も、この万能性を踏まえて金の置き場所を考えると、駒の効率を高めやすいとされています。
金を使う際の注意点
金は6方向に動ける万能性を持つ一方、銀の手筋を覚えようで解説したとおり、斜め後ろだけには利きが届きません。この唯一の死角である斜め後ろの方向から迫られると、金1枚だけでは受け止めきれないことがあると言われています。金を守りの主力に据える場合は、この方向からの攻めに弱いという弱点も踏まえたうえで、他の駒との連携を考えておくことが大切です。
金が守りの要となる代表的な囲い
金は多くの囲いで守りの中心的な役割を担う駒です。代表的なものとして、次の記事もあわせてご覧ください。