美濃崩しの手筋を覚えよう
美濃囲いの基本を覚えようで美濃囲いの組み方や特徴をすでに知っている方向けに、この記事では逆の視点、つまり「相手が組んだ美濃囲いをどう攻め崩すか」という実戦的なテーマを扱います。「持ち駒」など聞き慣れない言葉が出てきたら将棋用語集もあわせてご覧ください。
美濃崩しとは
「美濃崩し」とは、相手が組んだ美濃囲いを攻め崩すための一連の手筋・考え方をまとめて指す言葉です。美濃囲いは横からの攻めに強い堅い囲いとして知られていますが、どんな囲いにも構造上の弱点はあります。美濃囲いを崩す手筋は実戦での出番が多く、市販の手筋の本でも「美濃崩し」という一つのジャンルとして扱われるほど定着したテーマです。
美濃囲いの二大急所
美濃囲いを崩すには、まずその構造上どこが弱いのかを知っておくことが近道です。特によく知られているのが「端」と「コビン」という2つの急所です。
- 端(1筋):本美濃囲いの玉は2八(後手なら8二)に位置しており、盤の端である1筋(後手なら9筋)にとても近い場所にあります。玉のすぐそばに大きな逃げ場がないため、端から歩や香車で迫られると、玉の逃げ道がじわじわと狭められていきます。端玉には端攻めが有効になりやすいという考え方は、美濃囲いにもそのまま当てはまるとされています。
- コビン:玉のすぐ斜め脇、銀の斜め前方にあたるあたりに生じる急所は「コビン」と呼ばれ、端と並ぶ美濃崩しの二大急所として知られています。この付近は銀1枚だけで支えている場合が多く、角や桂馬でここに利きを作られると、玉に直接迫られやすくなると言われています。
代表的な美濃崩しの手筋
上の2つの急所を踏まえて、実戦でよく使われる美濃崩しの手筋を3つ紹介します。
端歩・端攻めで端をこじ開ける
美濃囲いの端の薄さを突く、もっともオーソドックスな攻め方です。端歩を突き捨てて香車の通り道を作ったり、端から歩や香を打ち込んだりして、玉の逃げ場である1筋・2筋あたりを少しずつ狭めていきます。端歩・端攻めの基本を覚えようで解説した端攻めの考え方が、そのまま美濃崩しの土台になります。
コビンを角・桂で攻める
銀1枚で支えているコビン付近に、角や桂馬で利きを作る攻め方です。角を敵陣深くまで成り込ませて馬にすると斜めの利きがいっそう強くなり、玉の頭上や斜め後ろから直接迫れることがあります。銀1枚だけの守りに対して、複数の攻め駒でコビンに狙いを定めることが、この手筋の基本的な考え方です。
たたき・焦点の歩で連結を断つ
美濃囲いの堅さは、銀・金が互いに支え合う連結の良さによって生まれています。この連結をあえて崩すのがたたきの歩や焦点の歩といった捨て駒の手筋です。金や銀に取らせることで、守り駒を本来の位置から引き離し、玉のまわりの連携を薄くすることができます。
美濃崩しから必至・寄せへ
美濃崩しの手筋を単発で決めるだけでは、必ずしも勝ちに直結するわけではありません。端・コビン・連結といった弱点を組み合わせて玉の逃げ場を狭めていき、最終的に必至(必死)や寄せの形に持ち込むことが、美濃崩しの最終的な目標になります。玉の逃げ場を数え、一つずつ塞いでいくという寄せの基本的な考え方は、美濃囲いを崩すときにもそのまま活きてきます。