タイトル戦(名人戦以外)の挑戦者はどう決まるか
将棋には現在8つのタイトル戦があります。このうち、名人戦の挑戦者を決める順位戦のしくみについては、「プロ棋戦のしくみ(順位戦・フリークラス制度)を覚えよう」で解説しました。この記事では、残る7つのタイトル戦――竜王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦・叡王戦――で、挑戦者がどのように決まっていくのか、その一般的な考え方を紹介します。
「挑戦者を決めるしくみ」は棋戦ごとに違う
8大タイトルのうち名人戦は、順位戦という1年がかりのリーグ戦を勝ち上がった棋士に挑戦権が与えられる、ほかにはない特別なしくみを持っています。一方、それ以外の7つのタイトル戦は、棋戦ごとに挑戦者を決める方式が異なります。「どのタイトル戦も同じしくみ」と一律に説明できるものではなく、予選・リーグ戦・トーナメントといった要素を、棋戦ごとに独自の組み合わせ方で採用しているのが実情です。
とはいえ、大まかに見ると、挑戦者決定の方式にはいくつか共通する「型」があります。ここでは、代表的な2つの型を一般論として紹介します。
型1: 予選やランキング戦からリーグ戦につなげる方式
一つ目は、まず予選や、組(クラス)に分かれたリーグ戦(ランキング戦)を勝ち上がった棋士たちが、少人数の「挑戦者決定リーグ」に進み、そのリーグでの成績上位者(あるいは優勝者)が、さらに挑戦者決定戦を経て挑戦権を得る、という流れの型です。近年の王位戦・王将戦は、このように予選やリーグ戦を経て挑戦者に近づいていく方式を採用していると一般に言われています。名人戦の順位戦と同じように、「一定期間の対局成績を積み重ねる」段階が含まれる点が特徴です。
型2: 予選を勝ち上がって本戦トーナメントを戦う方式
もう一つは、一次予選・二次予選といった予選を勝ち上がった棋士たちが、勝ち抜き形式(トーナメント方式)の本戦に進み、その勝者が挑戦者になる、という流れの型です。近年の竜王戦・王座戦・棋王戦・棋聖戦・叡王戦は、このように予選を経て本戦(決勝)トーナメントを戦う方式に近いと一般に言われています。棋戦によっては、本戦トーナメントの決勝や、トーナメント内の別枠(敗者復活枠など)を勝ち上がった棋士との対戦が、単発の1局ではなく複数局制(三番勝負・二番勝負など)で行われ、最終的な挑戦者が決まる場合もあります。参加できる棋士の人数、予選が何段階に分かれているか、上位者に予選免除(シード)があるかどうかといった具体的な規定は棋戦によって異なり、また見直されることもあります。
名人戦(順位戦)との違い
名人戦の挑戦者を決める順位戦は、最上位のA級に所属する棋士だけが1年間かけてリーグ戦を戦い、その勝者が挑戦者になる、というクローズドな年間リーグである点が大きな特徴です。A級に上がるまでにも、下位クラスでの昇級を積み重ねる必要があり、挑戦権を得るまでの道のりが長期戦になりやすい制度になっています。
一方、名人戦以外の7つのタイトル戦は、多くの場合、その期の予選開始から挑戦者決定までが、おおむね1年前後の期間で進む方式になっています。棋士は基本的に毎期、その期の予選や本戦から挑戦権を目指すことになりますが、前期の成績によって一部の対局が免除(シード)されたり、出場する組が変わったりする棋戦もあります。
このように、8大タイトルは「名人戦のように長期的な昇級・降級の積み重ねで挑戦権に近づく棋戦」と「その期ごとに予選から挑戦者決定まで進んでいく棋戦」に大きく分けて捉えると理解しやすくなります。それぞれのタイトルの創設年や現在の保持者は将棋の8大タイトル一覧でまとめて確認できます。