メインコンテンツへスキップ

感想戦のやり方を覚えよう

対局が終わった直後に、両者で盤を並べ直して指し手を振り返る「感想戦」は、将棋ならではの文化として対局のマナーの記事でも簡単に触れましたが、初心者ほど「何を話せばいいのか分からない」「気まずいのでは」と感じて敬遠しがちでもあります。この記事では、感想戦とは何か、なぜ行うのか、具体的にどう進めればよいのかを、初心者向けにあらためて詳しく解説します。

感想戦とは

感想戦とは、対局が終わった直後に、両方の対局者が盤の前に残り、実際に指した手を並べ直しながら振り返る検討のことです。「あの局面では他にこういう手もあったのではないか」「ここが分かれ目だった」といったやり取りを、対局した相手と一緒に行います。

感想戦は、ルールで義務づけられた儀礼ではありません。時間の都合で省略されることもありますし、オンライン対局では感想戦の機会自体がない場合も多くあります。それでも、対面での対局が中心だった将棋の歴史の中で古くから根づいてきた習慣であり、多くの将棋教室や道場で今も大切にされています。

感想戦をやる目的・意義

感想戦がなぜ大切にされているかというと、自分では気づけなかった発見が得られる貴重な機会だからです。指している最中は、持ち時間の制約もあり、一つの手を深く読み切れないまま指すことも少なくありません。感想戦では時間を気にせず、あの局面で気になっていた別の手を実際に並べて試すことができます。

もう一つの意義は、相手がどんな意図でその手を選んだのかを直接知れることです。指し手の裏にあった読みや方針は、盤面だけを見ていても分かりません。「あの手はこう考えていました」と対局相手から直接聞けるのは、感想戦ならではの体験です。相手の考え方を知ることは、自分の将棋の幅を広げることにもつながります。

こうした振り返りを対局のたびに積み重ねることが、上達につながる貴重な機会だと考えられています。

具体的な進め方

感想戦のやり方に厳密な決まりはありませんが、一般的には次のような流れで進められることが多いです。

  • まず一局を並べ直す:対局で指した手順を、最初の一手から順番に盤に並べ直していきます。多くの対局者は、指した手をある程度覚えているものですが、忘れてしまった手があれば思い出せる範囲で構いません。
  • 形勢が分かれた局面を中心に振り返る:一局すべてを同じ密度で検討する必要はありません。「ここで形勢が動いた」「この手が疑問だった」と感じる局面を中心に、そこで他にどんな手が考えられたかを話し合うと、効率よく振り返れます。
  • どちらから切り出してもよい:感想戦を誰から始めるかに決まったルールはありません。負けた側が「どこが良くなかったでしょうか」と尋ねる形で始まることもあれば、勝った側が「ここは際どかったですね」と切り出すこともあります。対局した相手や場の雰囲気に合わせて、自然に始めれば十分です。
  • 断定しすぎず、疑問形で話す:「ここはこう指したほうが良かったのでは」「こう指されたらどうしようと思っていました」など、断定よりも疑問や感想として伝え合うのが一般的な雰囲気です。感想戦という名前のとおり、あくまで「感想」を交換する場だと捉えると気楽に臨めます。

初心者でも怖くない

初心者のうちは、感想戦で気の利いたことを言わなければいけないと身構えてしまいがちですが、そう考える必要はありません。「ここがよく分からなかったので教えてください」と率直に尋ねるだけでも、立派な感想戦です。特に相手が自分より経験のある方や指導者であれば、一言アドバイスをもらえるだけでも次の対局に活かしやすくなります。初心者がやりがちな失敗・注意点でも触れているとおり、指しっぱなしで終えてしまうより、短い時間でも感想戦を挟むほうが得られるものは大きいと言われています。

また、負けた対局の感想戦は気が重く感じるかもしれませんが、負けた対局こそ振り返る価値が大きいとも言えます。感想戦は相手を打ち負かす場ではなく、お互いの発見を持ち帰るための時間です。難しい変化を読み切れなくても、「ここまでは分かったのですが、この先が読めませんでした」と伝えるだけで十分に成立します。

大会・道場でのマナーとしての感想戦

将棋道場や大会では、感想戦を通じて指導員や対戦相手からアドバイスをもらうことが、上達への近道の一つとされています。多くの道場・教室では、対局が終わった後に感想戦の時間を設けることが習慣になっており、初参加の場でも気後れせずに参加してよい文化として受け止められています。

一方で、大会によっては次の対局の時間が迫っていたり、会場の混雑状況によって感想戦を短く切り上げる必要があったりします。感想戦をするかどうか、どのくらいの時間をかけるかは、対局のマナーで紹介した一礼や投了の作法と同じく、その場の状況に応じて柔軟に判断して構いません。感想戦を断ること自体がマナー違反になるわけではなく、「ありがとうございました、また次回よろしくお願いします」と丁寧に切り上げれば問題ないとされています。

一人でもできる代替の振り返り方

対局相手が忙しくて感想戦の時間が取れない場合や、オンライン対局で感想戦の機会がない場合でも、一人で振り返る方法はいくつかあります。

一つは、プロ棋士の対局を盤に並べて追体験する棋譜並べです。自分の対局そのものではありませんが、感想戦や解説が付いている棋譜を選んで並べることで、感想戦に近い「なぜその手が選ばれたか」という視点を養うことができます。

もう一つは、AI評価値を使った振り返りです。対局を将棋ソフトに読み込ませると、各局面の評価値の推移や、ソフトが推奨する候補手を確認できます。ただし、評価値はあくまで参考情報であり、対局相手と直接言葉を交わす感想戦とは得られるものの性質が異なります。可能であれば対局相手との感想戦を優先しつつ、それが難しいときの補完として活用するとよいでしょう。

こうした一人での振り返りも含めた勉強法全体の流れは、将棋の勉強法・上達法でも解説しています。対局相手がいないとき向けの練習方法として、このサイトのAI対局モードには、対局後に評価値の推移を振り返れる感想戦モードも用意されています。詳しくは一人で将棋を練習する方法をご覧ください。

感想戦の進め方に唯一の正解があるわけではありません。ここで紹介したのはあくまで一般的に広く見られる進め方の目安であり、対局する相手や道場・教室の雰囲気に合わせて、無理のない形で取り入れてみてください。
← 対局のマナーを覚えよう一覧に戻る初めての将棋大会・道場の参加ガイド →
PR

感想戦で出てきた疑問をじっくり調べたい方へ

感想戦で「この局面はどう指すのが良かったのか」という疑問が出てきたら、手筋や定跡の解説書で調べてみるのもおすすめです。次の対局や感想戦がさらに楽しくなります。

Amazonで探す →