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歩の手筋を覚えよう

基本手筋を覚えようでは、たたきの歩・焦点の歩・桂頭の歩・両取り・王手飛車取りという5つの代表的な手筋を紹介しました。この記事では、その中でも特に奥が深いと言われる「歩」という1枚の駒にしぼって、もう一歩踏み込んだ手筋・考え方を解説します。手筋の全体像をまだ確認していない方は、先に基本手筋を覚えようを読んでおくことをおすすめします。

たたきの歩・焦点の歩・桂頭の歩のおさらい

たたきの歩、焦点の歩、桂頭の歩という3つの歩を使った手筋については、基本手筋を覚えようですでに盤面つきで詳しく解説しています。ここでは重複を避けるため、まだ深く扱っていない歩の手筋を中心に紹介します。

継ぎ歩(つぎふ)

「継ぎ歩(つぎふ)」とは、1枚目の歩を相手にぶつけて取らせ、その歩がいったん盤上から消えたところへ、同じ筋にもう1枚の歩を打ち込んで攻めを継続する手筋です。1回ぶつけて終わりの普通の歩の突き合いと違い、2枚の歩を続けて使うことで、相手の駒をもう一段深く引きずり出したり、余分な手数を使わせたりすることができます。

継ぎ歩が成立する背景には、二歩の反則があります。本来、自分の歩がすでにある筋には別の歩を打てませんが、1枚目の歩が相手に取られてその筋から自分の歩が盤上からいったんなくなっているため、2枚目の歩を同じ筋に打つことができる、という仕組みになっています。ただし、1枚目の歩が取られたマスには相手の駒がそのまま乗っているため、駒打ちのルール上そのマスへ「打って取る」ことはできません。2枚目の歩は、同じ筋のうち空いている別のマスへ打つことになります。

下の例では、4三の後手の歩を4二の銀が後ろから支えています。▲4三歩と1枚目の歩をぶつけて取ると、△同銀と取り返され、銀は4三のマスに進んできます。ここで先手は、銀がいる4三のマスそのものには打てません(駒打ちは空いているマスにしかできず、これは「打って取る」ことができないためです)。そこで2枚目の歩を、銀の1つ手前にあたる4四に打ちます。この時点で先手の歩はいったん盤上から消えているため二歩にはならず、しかもこの歩は次の1手で4三の銀を取れる状態になります。銀はこの歩から逃げるか、別の駒で払うかを迫られ、少しずつ駒や手数を消耗させられる、というのが継ぎ歩の考え方です。

0手目 / 全3手仕掛ける前(4三の歩を4二の銀が支えている)

垂れ歩(たれふ)

「垂れ歩(たれふ)」とは、相手陣のすぐ手前(成れるマスの1つ手前)に歩を打つ手筋です。ただ敵陣に迫るだけでなく、次に一歩進めば成れる状態を作ることで、相手に「今のうちに取るか、放っておいて成られるか」という受けを迫ることができます。

下の例では、6四のマスに歩を打っています。このマスは6三(成れるマス)の1つ手前にあたるため、次に▲6三歩成と進めば歩は成ってと金になります。すぐに何かを取るわけではありませんが、後手はこの歩をどう扱うか(取りに行くか、成られるのを承知で放置するか)を考えなければならず、実戦的なプレッシャーになりやすいと言われています。

0手目 / 全1手打つ前

と金の活用

歩が成るとと金になり、金将と同じ動きができるようになります。成る前の歩は前に1マス進むことしかできませんが、と金になると前後左右と斜め前の6方向に利きが広がるため、成る前とは比べものにならないほど働きが強い駒になります。

特に、敵陣の中に居座ったと金は受け方にとって非常に厄介な存在になりやすいと言われています。玉のすぐ近くに作られたと金は、そのまま寄せの主力として使えることも多く、格言でも「と金の遅早(おそはや)」という言葉で語られることがあります。これは、と金は作るまでに歩を成らせる手数がかかる分「遅い」駒ですが、いったん敵陣で完成すると金と同等の攻め駒として長く働き続けるため「早い」(効果が大きい)、というトレードオフを表した考え方とされています。ただし、局面によって成り込みに何手かけられるかは大きく変わるため、常にと金作りを優先すべきとは限らない点には注意が必要です。

歩の突き捨て

「歩の突き捨て」とは、その歩自体を取られてしまうことを承知のうえで、あえて歩を相手にぶつけていく考え方です。一見すると駒損に見えますが、歩をぶつけることで相手の駒の並びに隙間を作ったり、自分の飛車・角・香車などの通り道(筋・段)を開けたりすることができます。1枚の歩を捨てて、それ以上の価値を生み出せるかどうかを判断するのが、この考え方のポイントになると言われています。

ここで紹介した局面はいずれも、それぞれの手筋の考え方を分かりやすく示すための簡略化した例であり、実戦の対局そのものではありません。
手筋の名前や読み方に不安がある方は、将棋用語集もあわせてご覧ください。
歩の手筋を実際に使う感覚をつかむには、詰将棋パズルで終盤の読みを鍛えることもおすすめです。
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